賃貸のハウスクリーニング代は支払う必要がある?特約の見方を行政書士が判例を交えて解説
「退去時のクリーニング代5万円を請求されました。本当に支払わないといけませんか?」
賃貸住宅を退去した際、このような相談は非常に多く寄せられます。
実は、ハウスクリーニング代は必ず借主が負担するものではありません。
契約書の内容や特約の有無によって結論が大きく変わります。
私自身も退去時に、契約書に記載のないクリーニング代約4万円を請求されました。 契約書を確認し、管理会社へ指摘したところ、その請求は取り下げられました。
この記事では、行政書士の立場から、ハウスクリーニング代を支払う必要があるケース・ないケースを、国土交通省ガイドラインや判例も交えて詳しく解説します。
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ハウスクリーニング代は「必ず借主負担」ではありません
まず結論です。
退去時のハウスクリーニング代は、
契約書に適法な特約がある場合を除き、原則として貸主負担です。
その理由は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にあります。
原状回復とは?
原状回復とは、
借りた当時の新品の状態に戻すことではありません。
通常の生活を送る中で発生する
- ホコリ
- 軽微な汚れ
- 経年劣化
などは、
家賃に含まれる建物維持費用として貸主が負担するのが原則
とされています。
つまり、
「退去したからクリーニング代を請求する」というだけでは法的根拠として不十分なのです。
ハウスクリーニング代を支払うケース
次の場合は借主負担となる可能性があります。
① 契約書にクリーニング特約がある
例えば、
「退去時にハウスクリーニング費用44,000円を借主が負担する。」
このような条項です。
ただし、
特約が書かれていれば何でも有効というわけではありません。
特約が有効となる条件
最高裁判所は、賃借人に通常損耗まで負担させる特約について、一定の条件を示しています。
代表的なのが、次の判例です。
最高裁平成17年12月16日判決
この判例では、通常損耗について借主負担とする特約が有効となるためには、
- 借主が通常損耗についても負担することが契約書上明確であること
- 借主がその内容を認識し、合意していること
などが重要であると判断しました。
つまり、
「契約書の片隅に小さく書いてあるだけ」
では足りない場合があります。
消費者契約法との関係
契約内容によっては、
消費者契約法により無効となる可能性もあります。
例えば、
借主に一方的に不利益を課す条項で、
合理性が認められない場合です。
もっとも、
一律に無効となるわけではなく、
契約内容や説明状況などを総合的に判断することになります。
実際によくあるケース
ケース①
契約書に何も書いていない
↓
退去時に
「クリーニング代45,000円です。」
と言われる。
この場合、
請求の根拠を確認すべきでしょう。
契約書に借主負担の特約がないのであれば、
貸主側に請求の根拠を説明してもらう必要があります。
ケース②
契約書に
「退去時クリーニング代55,000円」
と明記されている。
↓
この場合、
原則として借主負担となる可能性があります。
もっとも、
特約の有効性や説明状況によっては争いになることもあります。
行政書士が実際に経験した事例
私自身、退去時に
約4万円のハウスクリーニング代
を請求されました。
しかし、
契約書を確認したところ、
借主がクリーニング費用を負担する特約はありませんでした。
そのため、
契約書を根拠に管理会社へ確認したところ、
最終的にクリーニング費用の請求は取り下げられました。
この経験からも、
請求されたからといって、そのまま支払うのではなく、まず契約書を確認することが重要だと実感しました。
「契約書に書いてある」と「請求できる」は違う
ここで注意したいのは、
契約書に書いてあっても、
必ず請求が認められるとは限らないことです。
例えば、
- 消費者契約法
- 民法
- 判例
との関係で、
特約が無効と判断される場合もあります。
そのため、
契約書だけでなく、
特約の内容や説明状況まで確認することが重要です。
高額なクリーニング代を請求されたら確認すべき5つのポイント
✅ 契約書に特約があるか
✅ 金額が具体的に記載されているか
✅ 入居時に説明を受けたか
✅ 国土交通省ガイドラインに反していないか
✅ 通常損耗まで借主負担になっていないか
よくある質問(FAQ)
Q. 契約書にクリーニング代の記載がなければ支払わなくてもいいですか?
契約書に借主負担の特約がなく、通常の使用による汚れであれば、貸主負担となる可能性があります。ただし、契約内容や事実関係によって結論は異なります。
Q. 管理会社から「みなさん払っています」と言われました。
他の入居者が支払っていることと、法的に支払義務があることは別問題です。
まずは契約書を確認しましょう。
Q. 契約書に特約があれば必ず有効ですか?
いいえ。
特約の内容や説明状況によっては、
裁判で無効と判断される場合があります。
行政書士からのアドバイス
退去時は、「早く終わらせたい」という気持ちから、請求内容を十分確認せずに支払ってしまう方が少なくありません。
しかし、一度支払ってしまうと、後から返還を求めることは容易ではありません。
そのため、まずは
- 契約書
- 重要事項説明書
- 退去精算書
を確認し、
疑問点があれば管理会社へ確認することをおすすめします。
まとめ
ハウスクリーニング代は、
「退去するから当然に借主が支払うもの」ではありません。
契約書の特約や判例、国土交通省ガイドラインを踏まえ、請求内容が妥当かどうかを確認することが大切です。
特に、契約書に借主負担の特約がない場合は、そのまま支払う前に一度内容を確認することをおすすめします。
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