行政書士は監理人になれる?要件・責務・注意点を詳しく解説
2024年6月から本格的に運用が開始された監理措置制度では、外国人を監督・支援する「監理人」の存在が不可欠です。
「行政書士でも監理人になれるの?」
「何か資格や収入の条件はある?」
「監理人にはどのような責任があるの?」
このような疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。
この記事では、行政書士の視点から、行政書士が監理人になるための要件や責務、実務上の注意点について詳しく解説します。
過去の記事:監理措置制度とは?入管の収容に代わる新制度を行政書士が分かりやすく解説【2026年最新版】
監理人とは?
監理人とは、監理措置決定を受けた外国人(被監理者)が、逃亡や条件違反をすることなく社会生活を送りながら退去強制手続を進められるよう、生活状況を把握し、必要な指導・支援を行う者です。監理措置は、収容に代わる制度であり、監理人は制度の中心的な役割を担います。法務省HP
行政書士は監理人になることができる
結論からいうと、行政書士も監理人になることが可能です。
入管法では、監理人は特定の資格者に限定されていません。
要件を満たせば、
- 親族
- 知人
- 元雇用主
- 支援者
- 弁護士
- 行政書士
など、幅広い者が監理人として選定される可能性があります。
行政書士が監理人になるための3つの要件
監理人として選定されるためには、次の3つの要件を満たす必要があります。
① 監理人の責務を理解していること
監理人には法律上の責務があります。
制度の内容を十分理解し、その責務を果たせることが前提となります。
② 監理人になることを承諾していること
当然ですが、本人の同意なく監理人になることはできません。
監理措置申請では、「監理人承諾書兼誓約書」を提出し、自ら監理人になる意思を示す必要があります。
③ 任務遂行能力があると認められること
最も重要なのがこの要件です。
主任審査官は、次のような事情を総合的に考慮して、「監理人として適当かどうか」を判断します。
- 年齢
- 職業
- 収入
- 資産
- 素行
- 被監理者との関係
- 監理人として報酬を受ける場合は、その報酬額が適正かどうか
これらを総合的に審査したうえで、任務遂行能力があると認められた場合に監理人として選定されます。
「収入要件」はあるのか?
行政書士からよくある質問が、
「年収○○万円以上などの基準はありますか?」
というものです。
結論として、
法律上、具体的な年収や資産額の基準は設けられていません。
もっとも、「収入」や「資産」は任務遂行能力を判断する要素の一つとされています。
そのため、
- 安定した事務所運営を行っている
- 継続した収入がある
- 被監理者への支援を継続できる
といった事情は、任務遂行能力を判断する際の参考となります。
任務遂行能力が認められない例
出入国在留管理庁の資料では、例えば次のような者は任務遂行能力が認められない例として挙げられています。
- 未成年者
- 精神機能の障害により必要な認知・判断・意思疎通を適切に行えない者
- 在留資格を有していない外国人
これらはあくまで代表例であり、最終的には個別事情を踏まえて判断されます。
監理人の責務とは?
監理人には、主に次の4つの責務があります。
① 被監理者の生活状況を把握し、指導・監督すること
生活状況を把握し、届出義務や監理措置条件を守るよう継続的に指導します。
② 相談に応じ、必要な援助を行うよう努めること
被監理者から相談を受けた際には、適切な助言や支援を行います。
③ 入管への届出を行うこと
住所変更や監理人の変更など、法令で定められた届出事項について、必要に応じて速やかに届け出ます。
④ 入管からの求めに応じて報告すること
主任審査官から求められた場合には、生活状況などについて報告を行います。
行政書士が監理人になるメリット
行政書士は在留資格や入管手続に関する専門知識を有しているため、被監理者に対して適切な支援を行いやすいという特徴があります。
例えば、
- 入管への届出に関するアドバイス
- 在留資格に関する相談
- 必要書類の作成支援
- 入管への同行
など、監理業務と入管実務を一体的にサポートできる点は、行政書士ならではの強みといえるでしょう。
報酬を受けることは可能?
監理人が報酬を受けること自体は禁止されていません。
ただし、出入国在留管理庁は、監理人に対して多額の金銭が支払われる場合には、監理措置決定がされなかったり、監理人の選定が取り消されたりする可能性があると注意喚起しています。
また、金銭の授受について入管が関与することはなく、契約内容や返金条件などのトラブル防止のため、契約書を作成しておくことが望ましいでしょう。
まとめ
行政書士は、監理人の責務を理解し、本人の承諾があり、任務遂行能力が認められれば監理人として選定される可能性があります。
一方で、監理人には生活状況の把握や入管への報告など重要な責務が課されており、単に名前を貸すだけの存在ではありません。
また、報酬を受けることは可能ですが、その額は業務内容に見合った適正なものであることが求められます。
監理措置制度は比較的新しい制度であり、今後も実務運用が蓄積されていく分野です。行政書士として監理人業務を行う場合には、制度の趣旨や責務を十分理解し、適切な体制を整えたうえで受任することが重要です。法務省HP
