風俗営業と深夜酒類提供飲食店営業の“二重取得”は可能か?|法律と現実を行政書士が分析

✅ 背景 ― なぜ二重取得を検討する人が多いのか

キャバクラ・ガールズバーなど「接待を伴う夜の店」を営業する方の中には、次のように考える方が多いようです:

  • 風営許可(1号など)で接待をしながら夜間営業
  • 深夜0時以降(または深夜帯)も営業したいため、深酒届を別に取ればOK
  • つまり「接待付き営業」と「深夜酒類店営業」を“時間帯で切り替える”ことで、売上機会を最大化できるのでは?

この考え方に基づき、「二重取得」は現実的か?という相談が増えています。


🔍 法律上の制度整理 ― 風営許可と深酒届は別制度

・風俗営業許可(1号〜5号等)

“接待を伴い、客に飲食または遊興をさせる営業” を対象とする制度。
たとえばキャバクラ、ガールズバーなどがこの許可を取得します。

・深夜酒類提供飲食店営業(深酒届)

深夜(たとえば0時〜6時)に酒類を提供する飲食店に必要な届出。接待行為は禁止され、「普通のバー・スナック」のような営業が前提。 m

このように、両者は根本的に目的・ルールが異なる別制度です。


✅ 二重取得は “理論上は可能” — ただし条件が極めて厳しい

結論、風営許可と深酒届の二重取得は難しいが、条件さえ整えれば可能です。

二重取得が認められるための主な条件

  1. 営業形態を明確に区分する
    • 風営営業(接待あり)の時間帯と、
    • 深夜酒類提供営業(接待なし)の時間帯をきちんと分けること
  2. 時間・従業員・客の“完全入れ替え”
    • 風営営業終了後、客・スタッフを全員退店させ、会計を済ませる
    • 一定時間の空き(例:30分以上)を置いてから、深夜営業を開始
    • 従業員も交代し、風営営業のスタッフを深夜営業でそのまま使わない
  3. 接待行為の禁止
    • 深夜営業では、会話・お酌・隣席など、あくまで通常の飲食サービスに留める
    • 接触・個室営業・性的サービスは一切行わない
  4. 警察署の理解と受理
    • 書類だけでなく、実際に「区分した営業をする」という強い説明と運営態勢が必要
    • 担当官により「なし崩し接待になるのでは」と整合性を厳しく問われる

このように、“きちんと分ける”ことが前提条件ですが、現実にはこの区分統制が非常に難しいため、認めてもらえるケースは限られます。


⚠️ 実務上のハードルとリスクが非常に高い

・警察署の姿勢は慎重で、受理されない可能性が高い

多くの警察署では「二重届け出」に対し強く慎重。
「結局深夜も接待するのでは?」「客・スタッフを分けても、常連が戻ってくるだろう」という見方から、申請を受理しないケースも多い。
歌舞伎町などの大きい繁華街では二重取得の前例も多く、担当警察官も慣れているが、その他の地域だと慎重に審査される。

・審査時の質問が厳しく、運営の透明性が求められる

通常の風営許可申請に比べて質問項目が多く、営業方法・時間管理・従業員管理の記録や誓約を求められることが多い。

・実査(取締り・抜き打ち検査)頻度が高まる

警察側としては「抜け道」とみなす可能性があるため、通常店より検査頻度が増えることを覚悟すべきです。

・運営コストや運営負担が跳ね上がる

営業時間の切り替え、従業員交代、情報管理、帳簿の二重管理など、運営の手間とコストが大きくなります。


💡 なぜそれでも「二重取得」を狙う人がいるのか?

  • 接待営業と深夜営業、両方で売上を取りたい
  • 深夜も収益を維持したい
  • 通常のバー営業より収益性を高くしたい

というニーズは理解できます。
しかし、法令と運用の実態とのギャップが大きく、無理をすればむしろ リスクとコストばかりが大きくなります


✅ 安全かつ確実に営業したいなら――合法的な選択肢を

もし長時間・深夜営業を検討するなら、無理に二重取得を狙うよりも、以下のような合法的で構造が明確な営業形態を選ぶ方が安全です:

  • 通常の風営許可(接待あり・営業時間内)
  • 深夜酒類提供飲食店営業(接待なし・深夜まで)
  • 必要に応じて、許可切り替えによる営業時間延長を検討

どちらかに絞り、無理なく運営することで、法令遵守+安定経営が実現できます。


📞 どうしても二重取得を狙いたい方・検討中の方へ

当事務所では、二重取得の可否判断から、警察交渉、書類準備、運営体制の設計までトータルでサポート可能です。

しかし、以下のような方のご相談はお断りしています:

  • 「接待も深夜営業もどちらもやりたい」=すなわち「深夜も接待したい」
  • 法令遵守よりも売上重視で、運営の透明性を担保できない

一方で、法令に則った営業を前提に、二重取得をきちんと目指す方には、最適なアドバイスと実務サポートをご提供します。


✅ まとめ:二重取得は“理屈上は可能”も、現実は厳しく慎重に判断を

  • 風営許可と深夜酒類提供届は別制度
  • 理論上は「営業時間・従業員・客の切り替え」で二重取得可能とされるケースもある
  • しかし、実務上のハードルが非常に高く、多くの警察署で受理されない・運営上の負担が大きい
  • 無理せず、どちらかに絞った営業が現実的かつ安全

風営法・深夜営業届の手続き、営業設計でお悩みの方はいつでもご相談ください。

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