【徹底解説】行政書士 vs 司法書士|どこまでできる?境界線(業際問題)を専門家がわかりやすく説明


行政書士と司法書士は、いずれも「法律系国家資格」であり、書類作成や手続代理を行う職種ですが、取り扱える業務範囲が法律で明確に線引きされているため、ときに“業際問題”が発生します。
「ここまでは行政書士ができるのか?」
「この手続は司法書士じゃないとダメなのか?」
と悩む依頼者も多く、専門家側も境界線の理解が重要です。
本記事では、行政書士と司法書士の業務範囲の違い・グレーゾーン・注意点を徹底的に解説します。
1. 行政書士と司法書士の基本的な役割の違い
■ 行政書士の役割(行政手続の専門家)
- 官公署に提出する書類の作成・代理
- 権利義務・事実証明に関する書類作成
- 契約書、内容証明、遺産分割協議書などの作成
- 各種許認可申請(許可業務は行政書士の主要業務)
👉 裁判所・登記所に提出する書類の代理はできない
■ 司法書士の役割(登記・裁判業務の専門家)
- 不動産登記・商業登記(会社登記)
- 裁判所に提出する書類の作成
- 140万円以内の簡裁訴訟代理権(認定司法書士)
👉 登記・裁判に関わる業務は、司法書士(または弁護士)の独占業務
2. 最も問題になりやすい「業際(境界)」はここ!
① 不動産相続・名義変更(登記が絡む領域)
| 手続 | 行政書士 | 司法書士 |
|---|---|---|
| 相続人調査(戸籍収集) | ○ | ○ |
| 相続関係説明図の作成 | ○ | ○ |
| 遺産分割協議書の作成 | ○ | ○ |
| 不動産評価証明書の取得 | ○ | ○ |
| 相続登記の申請代理 | ✕(できない) | ◎(独占業務) |
| 登記事項証明書の取得代理 | △(委任状あれば可。ただし実務上は司法書士へ) | ○ |
➡ 登記申請は100%司法書士の独占業務
➡ 行政書士は「登記に必要な書類作成まで」が限界
② 会社設立(定款作成 vs 登記申請)
| 範囲 | 行政書士 | 司法書士 |
|---|---|---|
| 定款作成 | ◎ | ◎ |
| 電子定款認証代理 | ◎ | △(行政書士ほど一般的でない) |
| 設立登記申請 | ✕ | ◎(独占業務) |
👉 行政書士は会社設立手続きに強いが、
登記申請だけは司法書士が必須。
③ 契約書作成・示談書・内容証明の業際
行政書士は契約書作成ができるが、
法律相談や示談交渉(代理交渉)は非弁行為となり違法。
司法書士も同じく、
交渉代理は弁護士でない限りNG(ただし簡裁代理権の範囲を除く)。
| 行為 | 行政書士 | 司法書士 |
|---|---|---|
| 契約書・示談書の作成 | ○ | ○ |
| 内容証明郵便の作成 | ○ | ○ |
| 相手方との交渉 | ✕(非弁行為) | ✕(弁護士以外不可) |
| 140万円以下の裁判代理 | ✕ | △(認定司法書士のみ可) |
④ 相続業務全般の「グレーゾーン」
行政書士は相続書類作成に強い。
司法書士は登記+相続手続に強い。
しかし「遺産の全体管理・調整」を行政書士が行うと
総合的代理行為として非弁行為に問われるリスクがあります。
行政書士がやってはいけない相続実務
- 相続人間の調整・仲裁
- 相続財産の分配方法を助言
- 不動産評価額を用いた遺産分配案の提案
- 法的な判断を要する助言(法律相談・代理)
👉 書類作成の範囲に限定するのが安全。
3. 行政書士が気をつけるべき「非弁行為」ライン
行政書士は、弁護士法72条により
“法律事件に関する代理や法律判断の提供”は一切できない
とされるため、以下はNG。
- 相手との示談交渉
- 法的評価や判例に基づく代理判断
- トラブル案件の介入
- 裁判所提出書類の代理
ただし、
一般的な法律知識の説明や
書類作成に必要な範囲の助言は適法。
4. 司法書士側の注意点(行政手続は守備範囲外)
司法書士は登記の専門家であるが、
許認可業務(建設業・古物商・運送業など)は守備範囲ではない。
- 許可要件の判断
- 行政手続の調整
- 行政庁との事前相談
- 許認可の代理申請
これらは行政書士が専門で、司法書士が軽く扱うと
行政書士法違反(無資格手続代理)となる可能性があります。
5. 実務でよくある「協業パターン」
① 相続(行政書士 × 司法書士)
- 行政書士:戸籍収集、遺産分割協議書作成
- 司法書士:相続登記
- 税理士:相続税申告
→ 3士業連携が最も多い領域
② 会社設立
- 行政書士:定款作成・電子認証
- 司法書士:登記申請
- 社労士:労務手続
③ 成年後見
- 行政書士:任意後見契約書作成
- 司法書士:法定後見申立て書類作成(※代理不可)
6. 結論:線引きを理解すればトラブルは防げる
行政書士と司法書士は、似ているようで役割は明確に違います。
行政書士:行政手続・書類作成のプロ
司法書士:登記・裁判手続のプロ
依頼者の不安を取り除くためにも、
各資格者ができること・できないことを理解し、
必要に応じて士業連携することが、最も安全で効率的です。
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